2024年3月3日(日)に開催された「東京マラソン2024」。今年も国内、海外合わせて約37,000名のランナーが出走しての開催となりました。
この大会の成功は参加したランナーの皆さんの力走、沿道やテレビなどで応援していただいた皆さんの声があってこそですが、忘れてはいけないのが大会を支えてくださったボランティアの皆さんの力。大会に携わったボランティアの皆さんはどのような事前準備をし、そして、どのような想いで大会本番を迎えられたのでしょうか。東京マラソンEXPO 2024の会場、スタート地点である東京都庁前広場に設置されたインフォメーションで活動したボランティアさんにお話を伺いました。
東京マラソンEXPO 2024ランナー受付・ボランティア受付
東京マラソンEXPO 2024が開幕して2日目の3月1日(金)、受付でランナーをお出迎えしていたのは奥山啓さん 。ランナーの本人確認、アスリートビブスの引き換え、計測タグの確認などをテキパキとこなしていました。
「東京マラソンのボランティアは今回が初めてになります。メンバーとして活動していまして、ランナーの誘導、ビブス引き換え、受付の3カ所を担当しています」
ボランティアを始めたきっかけは、結婚してもうすぐ1年になる奥さんに熱烈に誘われたから。と言って仕方なく参加するというわけではなく、もともと祖母の影響で10代からボランティアに参加していたという奥さんの楽しそうな様子を間近で見ていたことから、奥山さんも「楽しそうだな」と思っていたと言います。
「妻が近所だけじゃなくて新幹線で出かけるくらい遠い場所にもボランティアに行くのは衝撃的でした。朝5時に出発して帰ってくるのが夜の10時、翌日はまた朝から仕事なのに『すごく楽しかった!』と言うんです。妻にとってはボランティアが人生の一部のようにも見えましたし、そんなに楽しいんだったら僕もやってみたいなと思っていました」
これだけではありません。奥山さんにとってボランティアに好印象を抱いた出来事がほかにもありました。それは引っ越しの時です。
「妻のボランティア仲間の皆さんが手伝ってくれたんです。延べ12人ぐらいですかね。僕の下着をたたむくらいまで手伝っていただいて(笑)。すごくお世話になったので、その時のボランティアさんにお礼を言いたいということもあって、自分も始めてみようと思いました」
奥さんの勧めで、まずは昨年10月の「東京レガシーハーフマラソン2023」でボランティアデビューし、その時も同じEXPOでのランナー受付などを担当。次に今年2月に開催された「THE CHALLENGE RACE SERIES 2 in 2024」のフィニッシュエリアを担当し、今回の東京マラソンが3回目のスポーツボランティアとなります。
「やはり頑張っている人たちの手助けができるということが楽しいですね。また、選手も一般ランナーの方も含めて頑張っている人たちは感じがいいと言いますか、気持ちのいい人が多いなという印象です」
頑張って、と声を掛けると日本人ランナーも外国人ランナーも笑顔で「ありがとう!」と返ってくる――そんな気持ちのいいやり取りで、かえって自分の方が元気にしてもらえると奥山さんは語ります。一方で、海外から参加するランナーが多い東京マラソンの受付では当然、外国人とやり取りをする場面も多くなります。英語での対応に苦戦したという奥山さんでしたが、それでも自身にとっては楽しく、貴重な経験だと話します。
「英語ができないとこんなに上手く行かないんだと感じました。でも、簡単な英語と身振り手振りでなんとか理解してもらおうとしているうちに、どうやったら伝わるのかが段々と分かってきました。それもまた楽しいですよね。言語が分からない、イコール投げ出していいというわけではないと思います。何とか伝える、何事も諦めてはいけないということを今回特に学びました。まあ、それは分からないからと言って諦めるタイプではない妻の英才教育の影響かもしれませんが(笑)」
奥山さんは今後もボランティア活動を継続し、まずはボランティアリーダーの資格取得を目標にしていくそうです。そして、これからボランティアを目指す人たち、若い世代に向けてこんなメッセージを寄せてくれました。
「実際にボランティアを経験することで見聞がすごく広がったと思いました。もしかすると、関わったことがない人に対しては偏見のようなものがあるかもしれません。でも、とにかく関わってみて、それでどう感じるかということを多くの人に経験してもらいたいです。僕自身、引っ越しで手伝ってもらったこともそうですが、ボランティア同士のつながりもすごくいいですよね。尊敬できる方ばかりですし、職業も様々。こんなに色々な人と交流できることはなかなかない。また今回は多くの外国人と関わりましたし、これほど国際交流できる機会もめったにないと思いますから」
都庁前広場インフォメーション
一方、大会を間近に控えた2月29日(木)~3月2日(土)にスタート地点の東京都庁前広場には参加ランナー向けのインフォメーションが設置されていました。毎年、下見のために多くのランナーが訪れていたことから、今年初めてインフォメーションを設置。ここでもボランティアの皆さんがランナーをお出迎えして案内していました。
ここで活動していたボランティアの一人にお話を伺ったところ「初めて東京マラソンを走るというランナーの方が多く訪れていますね。主にスタートのゲートまでの道筋や更衣室の場所を案内しています」とのこと。不安そうに訪れるランナーも多いという印象から、このインフォメーションは「今後も絶対に必要な場所だと思います」と話していただきました。
それだけに、時にはゲートや更衣室まで一緒に歩いて案内することでランナーの不安な表情が和らぐことが何より嬉しいと語ってくれました。
「やっぱり、ランナーの皆さんには何の不安もなくマラソンを走ってほしいですから。ホッとされた表情を見ると、良かったなぁと嬉しくなります。それがやりがいですね」
スポーツボランティアを始めたのは2011年、サッカーのFC東京関連での活動から。その後、先輩ボランティアに誘われて2013年から東京マラソンのボランティアも開始し、今回で10回目の参加となるそうです。大会当日はリーダーサポートとして40km給水地点で活動を予定。自身にとっても記念のボランティア参加10回目となる東京マラソン本番に向けて、次のようなメッセージをいただきました。
「ランナーの皆さんが楽しく走って、そしてボランティアのみんなも楽しくなるような大会になるといいですね。明日も頑張ります!」
3月3日(日)の「東京マラソン2024」当日、ボランティアの皆さんはどのような思いで活動し、どのような体験・感想を得たのでしょうか。大会に参加くださったボランティアの皆さん、ありがとうございました!