
2025年3月2日(日)に開催された東京マラソン2025。今年も国内、海外から約38,000名ものランナーが参加し、またそれ以上に多くの方々が声援を送るなど、一人ひとりが自分だけの東京マラソンストーリーを描いたことと思います。
そして、参加したランナーの皆さん、応援していただいた方たちと合わせて、忘れてはいけないもう一人の“主役”。それが大会を支えてくださったボランティアの皆さんです。大会に携わったボランティアの皆さんはどのような事前準備をし、どのような想いで大会本番を迎えられたのでしょうか。大会前に開催されたVOLUNTAINER Meeting 2025でのボランティア受付、スタート地点である東京都庁前広場に設置されたスタートインフォメーションで活動したボランティアさんのほか、初めて参加する大学生にお話を伺いました。
■ランナー受付

東京マラソンEXPO 2025が開催された2月27日(木)~3月1日(土)、会場となった東京ビッグサイトの南展示棟にあるランナー受付には多くのランナーが訪れました。
特に初日となった2月27日(木)はゲートオープンの朝一番から海外ランナーが多く来場して大賑わい。そうした中、担当ボランティアの皆さんはランナーの皆さんを笑顔とハイタッチでお出迎え。そして、ランナー受付ではランナーの本人確認、アスリートビブスの受け渡し、計測タグの確認などをスムーズに対応していました。
■VOLUNTAINER Meeting 2025~東京マラソン2025みんなでつなぐサステナビリティ~

一方、今年は東京マラソンEXPO 2025と同じ期間に「VOLUNTAINER Meeting 2025 ~東京マラソン2025 みんなでつなぐサステナビリティ~」を、同じ東京ビッグサイト内にある会議棟で開催しました。
「VOLUNTAINER Meeting」は"新しい仲間や体験と出会える場"として東京マラソンオフィシャルパートナーや各種団体のご協力のもと、2023年12月に初開催。スポーツボランティア実践講習、AEDの使用方法などを学ぶ救命講習、海外ランナー対応入門編の英語講習などボランティアにまつわる様々なセミナーが開催され、ご参加いただいた皆さんから好評をいただきました。

今回、2度目の「VOLUNTAINER Meeting 2025」は東京マラソンEXPO 2025期間と合わせ3日間での開催。「活動に役立つ!ボランティアセミナー」「東京マラソン活動別オリエンテーション」「AEDセミナー」「気分を上げるヨガ&サステナビリティ交流会」など様々なコンテンツが実施され、女子マラソンの元世界記録保持者であるポーラ・ラドクリフさん、テグラ・ロルーペさん、asicsブランドアンバサダーを務める元パラ水泳選手の一ノ瀬メイさんらもゲスト参加しました。加えて、チャリティ寄付先団体による展示ブース、廃材をメインに使ったオリジナルの応援グッズ作成などのワークショップを実施。金継ぎ体験教室には多くの海外ランナーとその家族の皆さんが参加し、日本文化を体験していました。

そして、「VOLUNTAINER Meeting 2025」の運営を支えていたのもボランティアの皆さんたちです。会場内の誘導をはじめ、ステージ上ではセミナーの司会進行など登壇も務めるなど「VOLUNTAINER Meeting 2025」を盛り上げていました。

また、VOLUNTAINER Meeting 2025会場内には参加するボランティアメンバーの疑問や質問、不安に思っていることなどに答えるボランティア相談コーナーを設置。当日の集合場所の確認や現在感じている疑問など、不安を解消する場として多くのボランティアが集い、大会当日に向けた不安や疑問を解消していました。そこで活動していた金谷易子さんにお話を伺いました。

ボランティアを始めたきっかけは、東京マラソン財団の職員でもある妹さんに「やってみたら?」と誘われたこと。ただ、「寒そうだし、大変そうだし」と最初は断っていたとのことです。しかし、実際に東京マラソンのボランティアを経験した知人が「とても楽しかった」と話しているのを聞いて、「それならやってみようか」と初めて参加したのが2015大会でした。
「担当したのは5km地点の給水でした。いろんな年齢、立場の人がひとつになって協力しあうのが楽しかったですね。妹には『また来年もやる!』とすぐに言いました(笑)」
以来、東京マラソンのボランティアに毎年参加。最初の活動で出会ったボランティアリーダーの人柄に憧れ、そして、もっと深く東京マラソンに関わりたいと思ったことから、ボランティアリーダー、リーダーサポートと様々な役割で関わり、今回で節目の10回目の参加となります。
「ボランティア活動を通して、いろんな人と気軽に話せるようになりました。以前ですと、困っている人を見てもなかなか声を掛けにくかったのですが、今では『どうしました?』と声を掛けられるようにもなりました。初めての人ともコミュニケーションが取りやすくなったと思いますね」
そう笑顔を見せる金谷さんにとって、ボランティア活動をきっかけに大きく変わったことがもう一つあるそうです。それは、マラソンにも目覚めたこと。
「走ることは大嫌いだったのですが、走る側になったらボランティア活動の役に立つことがあるかもと思って、3年前の東京レガシーハーフマラソンに出てみたんです。それから走ることにもハマってしまって(笑)。いつか東京マラソンも走ってみたいですね」
10年前と比べて若い世代の人たちや、日本在住の外国人の方たちの参加が増えるなど、ボランティアのすそ野の広がりを実感しているという金谷さん。2027年に迎える節目の20回大会、さらにその先の東京マラソンをこれからも変わらず支えていくために、「自分の経験、先輩たちから引き継いだことを新しい人たちに伝えて、『楽しかった』『またやってみたい』と笑顔で帰っていただけるように心がけて、今後も活動していきたいです」と、想いを語っていただきました。

同会場ではボランティア受付も行われており、大会当日に活動するボランティアが来場し、本人確認、ウェアやキャップほか配付物一式のをお渡ししました。
■大学生チームがボランティアに参加

東京マラソン財団オフィシャルボランティアクラブ「VOLUNTAINER(ボランテイナー)」では今回、若い世代のボランティア参加促進も兼ねて、大学生のメンバーを募集。応募していただいた大学生同士でチームを組み、40km地点の給水所を担当しました。
VOLUNTAINER Meeting 2025の初日に会場を訪れ、セミナーなどに参加した3名の大学生に、ボランティアに参加した理由、東京マラソン本番への想いなどお話を伺いました。

緑川萌花さん(東海大学2年生)
「大学ではスポーツマネジメントの勉強をしています。東京マラソンは国際的なイベントなので、経験がたくさん積めるかなと思って参加しました。ランナーの皆さんだけでなく、コミュニティの場として同じサポートする側であるボランティア同士、スタッフの皆さんともつながりができたらいいなと思っています。当日は世界中からたくさんのランナーもいらっしゃるので、海外ランナーの人たちにも感謝が伝わる言葉をかけたいです」

岡﨑桃佳さん(東海大学2年)
「将来はスポーツする人をサポートする仕事に就きたいなと思っています。東京マラソンのような国際的な大会に関わる経験は貴重だなと思って参加しました。給水所は選手と触れ合える場所なので、お互いの熱意を感じられるのが楽しみです。40km地点はきついところだと思いますし、ランナーの皆さんは自分には分からないつらさを感じていると思うので、笑顔で明るく元気づけられたらいいなと思っています」

山口鶴太郎さん(成城大学2年)
「東京マラソンはエリート選手から市民ランナーまで一緒に参加していて、あらゆるスポーツ大会の中でも幅広く開かれた大会。そうした点にもともと興味があって、携わってみたいと思って参加しました。40km地点は頑張っているランナーの皆さんが通っていく場所でもありますので、その頑張っている姿を見て自分自身も刺激をもらいたいです。声を掛けて、少しでもパワーを届けられたらと思っています」
■スタートインフォメーション

ボランティアの皆さんが事前から活動している場所は東京ビッグサイトだけではありません。スタート地点の東京都庁前広場には毎年、下見のために多くのランナーが訪れていたことから、2024大会からランナー向けのスタートインフォメーションを設置しました。

今年も国内、海外からスタート地点の確認、下見に訪れていたランナー一人ひとりに対し、ボランティアの皆さんがスタートするブロック、そこまでの行き方、当日の注意事項などを親身になって案内していました。

また、インフォメーションからやや離れた地点が入場ゲート・スタートブロックとなっているランナーに向けては、ボランティアがガイド役となって実際の場所まで一緒に同行して案内するツアーも実施。その道中では手荷物検査やトイレの場所のほか、大会当日は気温が高くなるという予報だったことからスタート前にはどのタイミングで水を飲むことができるかなど、ランナーの不安を少しでも取り除けるよう様々なことをアドバイスしていました。
千葉県から下見に来たというランナーの方も「東京マラソンは初めてで土地勘もあまりないので不安だったのですが、ボランティアさんに教えていただいて、当日の流れがだいぶ分かってきました。本当にありがたいですね」と笑顔で話していただくなど、大きな助けになったようです。
3月2日(日)の「東京マラソン2025」大会当日、ボランティアの皆さんはどのような思いで活動し、どのようなストーリーが生まれたでしょうか。大会に参加くださったボランティアの皆さん、ありがとうございました!